岩田専太郎展
東大弥生門前にある竹久夢二美術館と併設の弥生美術館で開催されている
「高畠華宵アンティーク着物展」が目当てで出掛けて来た。
夢二美術館でも「アール・デコの世界」と興味深いテーマだったので、ちょうどよかった。
でもこの会期中のメインはどうやら弥生美術館の「岩田専太郎展」だったようで。
こちらは、かなりの見ごたえのある展示量で、
もともとこの方は働き者だったようで、残っている作品量は多いのでしょうが、
この規模での展覧会は珍しいらしいです。
乱歩、横溝作品の挿し絵や新聞の連載時代小説の挿し絵、
昭和初期の女性誌の表紙等々。おんな、おんな、おんな、
おんなだらけ。
これだけの女づくしでも一人一人への愛情がたっぷりと、
その首筋、髪の流れ先、背中から腰への流線に注がれていて、
絵を見ているだけで丁寧になぞられているようなエロティックな気分になる。
作品は時代ごとに陳列され、戦時中の多くの画家がそうであったように
プロパガンダによる作品も残されている。
ベージュの軍服着た寸胴の兵隊さんの絵なんか描きたくなかったろうに・・・。
その余波なのか、空襲で財産を失ってしまったこともあってか、
戦後の作品は艶やかさは磨きがかかり、妖艶どころではなく、「ぎりぎり」。
それでも時代を超えて惹き付けて止まない美しさは健在。
女に生まれたからにはこうでなくてはイカン。と思わされる事しきり。
「一日に3~4人(だったかな)の女性を描いている。
いままで描いて来た女性だけの人数で一つの国ができる・・・。」
とか、そんなようなことを言っている記事があった。。。
また素敵な男を見つけてしまった。
ご存命でないことが悔やまれる。
ところで、何気なく得た収穫を回想しつつ、ふと思い当たるところがあり、
帰宅後、自分のライブラリにある、「発禁本・地下本」のインディックスをめくる。
ありました。やはりこんなお仕事もしてましたのね。
という感慨深いオチでした。
地下本も今や白日の下に晒されております。