2006年7月30日日曜日

本日の学習

プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展@東博

企画展に関連した講演会の最後となる辻 惟雄先生の講演。
応募締め切り後半になって異様な盛り上がりとなり、1か月前の講演会の際には、
抽選になっちゃいました。と、聞いていたのでなかば諦めてたんだけど、
講聴状が送られて来て、涙。
狩野先生に引き続き嬉しい企画でした。

辻先生とプライス氏の交流のなれそめを楽しく話されることでコレクターの人柄や
好み、江戸絵画コレクションでは世界で屈指のコレクターがどんな経緯で作品と出合い
コレクションしていったかを知り、着目点のヒントやバリエーションを増やすことができる。
それが正にこのコレクターの意図であり、それを先生が図らずも代弁されていることになる。
氏が自ら体感している作品の呼吸を少しでも感じてほしいと、
今にも立ち上がり力説しはじめそうな衝動をもっているのがわかる。
氏を訪れる若い研究者や学生に惜しむ事無く次々に自らが作品を出し入れする姿を想像すると、
今其処で座っているかっぷくのいいおじいさんがサンタクロースみたいに見える。
博物館側が泣かされた前代未聞の企画室も、実際に目の前にしてみればこんなに凄い経験をした事はないことに気が付く。お寺の特別公開だって5メートルや10メートル先に置かれて、感じ取るのは緊張感だけだったりする。

巨大な1双の屏風を硝子なしで観る事の重大さ。香りのように感じる存在感と色彩の主張。
日本文化を伝播させた古の人たちがこの屏風の前で何を思っていたのか聴こえるような感覚さえする。

既にプライス氏との交流をお持ちだった頃に書かれた辻先生の著書の中で、
いずれは、「代表作はアメリカにあります。」ということになりかねない危機感を訴えられて
いたが、これがその「流出」に当たらないということは一目瞭然だった。

展覧会公開以前にブログやオンラインアルバムを使い画像を公開していることでも、
欧米人とは思えないフトッパラさだもの。神だよ。

以前、バークコレクションで探幽の地蔵菩薩を硝子越しに見て、「帰って来たいよね・・・」
とじっとりとした気持ちになったけど、今回観た抱一。佐野渡図
この前では雪が散る音が確かに聞こえた。

若冲だけでなく、氏の江戸淋派への思い入れは深く、いちいち私の好みをくすぐる訳だけど、
十二か月花鳥図/酒井抱一
については現在三の丸尚蔵館でがちんこちう。泣ける。



奇想の系譜





プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展
記念講演会(2) 「若冲を甦らせた男」
日程 2006年7月29日(土)
時間 13:30〜15:00(開場13:00予定)
会場 東京国立博物館 平成館大講堂
演題 「若冲を甦らせた男」
講師 MIHO MUSEUM館長 辻 惟雄 氏